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20150430 Stockwell London, England to Tokyo, Japan.

最後の朝は7時頃から始まる。










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荷造りは昨夜なんとか終えていたので、部屋の片付けをしながら始める。
残りの小銭たちで昨日買っておいたもの。
名残惜しさかペースもあがり、あっという間に飲みきってしまった。
部屋の掃除もある程度できたし、問題ないだろう。
帰ってきた彼らは部屋の違いに特に触れず生活をするのだろうな。










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結局最終日まで快晴続きのロンドン。
空港行きのPiccadilly Lineに乗っていると、この空が出てくれた。
雲が深く、ロンドンらしい空模様。
最後に見れて本当によかった。


地下へ吸い込まれてターミナル5駅へ向かうために、
前の駅で降りて乗り換えを待つ。
すると、放送で、どうやらターミナル5行きの電車が無いのこと。
バスで移動しなければならないようだ。
周りが急速に地上へ向かっていく。
待つこと10分ほどでバスが到着し、車内はかなりの密度。
予定の30分遅れ程でようやく空港へ到着。










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満身創痍のスーツケースを預けて荷物検査へ。
何かが引っかかってしまい時間を食う。
ターミナル5からゲートに向かうには空港内の電車に乗るらしい。
既にこの時点でゲートクローズの時間が迫っていた。
車内の同航空会社の添乗員さんに尋ねると、大丈夫ではと。
しかし焦る気持ちは拭えず、走ってゲートへ向かう。
なんとか間に合ったようだ。
あと1分でゲートを閉めていたと言われた。
まったく、最後の最後までハプニング続きの旅である。










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一息つく間もなく飛行機は滑走を始める。
窓の外からロンドンの市内が見える。
さようなら。また半年後。










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「海外に行くと価値観が変わる・広くなる」
こういった言葉をよく耳にする。
ロンドン市民は結局せっかちだし、よく謝るし。
これまで僕はそういった経験値を実感したことがなかった。
しかし今回はJaviらとの共同生活、
彼らが紹介してくれる友達と沢山出会い、
物事への考え方・価値観に大きく触れることができた。










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例えば『今日遊びに行きたい』という提案がある。
これを
「合意されそうな提案を相手に伝える」

「自分の意見を持つ」
これらは形にすると似ているが、内容は全く別物になる。


Javiはよく「ユージは今日どうしたいの?」と聞いてきた。
僕は、相手が合意しそうな提案を伝えていたことが多かった。
なので基本的に滞りなくスケジュールが立っていくのだけど、
これは逆の立場であると、合意されなかったときに問題が起きる。
僕には求めている応えがあるからだ。


彼らは常に「自分の意見を相手に伝える」だった。
だから受け入れられるし。断ることもできる。
そして断られても、それは相手の意見なので問題ない。
自分の意見をお互いに交換しあうことで、
相手との差異を受け入れられる。過度な共感を要求しなくなる。


言語と会話は本質的に不要になる。
ロンドン3回目にして圧倒的に不足している語学力だけれども、
お互いがコミュニケーションを取り合おうとすれば成立する。
無言の居心地のよさも何度も目の当たりにした。
何が起きれば嬉しく・悲しく・感動し・落胆するか。
これらの感性は本質的な同じであった。
故に芸術品や美しい街並みにも多国籍に人が集まるのだろう。


そして意味を求め過ぎる必要のなさ。
人生は短い。だけれども時間はたっぷりある。
テキトーに過ごすという意味ではなく、小さいことを気にしない。
様々な場面で彼らのこの器の広さに触れられたような気がする。
やりたい表現として達成したこと、
結果として得た大きな評価。
これらも前回に比べてより濃密に・具体的になった。
しかし今回の最大の収穫はこれらの気持ちの変化だった。
彼らとじっくり触れ合うことができて本当によかった。


経験こそが最大の収穫で、それは無くなることのない財産になる。
食べそびれていたイングリッシュモーニングの機内食。
その味は普段に増して美味しく感じた。










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日本が見えてくる。
着陸態勢に入る。
離陸時に見た同じような景色。何が変わって帰ってきただろう。
変わることが良いことなのだろうか。
最高なことも、正直言って最低なことも沢山あり過ぎた旅。
それはロンドンが絶対的に特別な場所でなくなってきた証拠でもある。
耳元ではCOLDPLAYのTrue Loveが流れ、
曲の終わりと同時に機長から着陸の挨拶が流れた。
なにか、大きな物語を終えたような気持ちだった。


これで、おしまい。
ありがとう。
そして、さようなら。










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期待・虚空・黄昏・諸々の残骸でいっぱいな胸に
槍が突き刺さる。
重量超過で別のラインに載せた荷物が飛行機に乗らなかったらしい。
まったく、最後の最後までハプニング続きの旅である。
嗚呼、本当に。










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バス・電車を乗り継いで翌日の正午、桜上水まで帰ってきた。
またね。
出発前に見た桜の木はすっかり青々と生命に満ち溢れている。
爽やかな風がぬるりと湿気を帯びて身体に纏わりつく。


さあ、次だ。


人生は短い。だけれども時間はゆっくりと流れている。
スーツケースの無事と今後の修理について考えながら家に辿り着く。
狭く天井の低い部屋と久し振りの対面を果たし、
まずはスティックを握り練習台の前に座るのでした。










Thank you Javi, Jordi, Bill and all friends.
see ya half years later, again & again!
それでは、続きはwebで。チーン。