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20160725 #stdrums in Chamonix-Mont-Blanc, France.

あまりの寒さに身体の芯まで冷えた。
スイスとフランスの国境付近であるLes Houches.
標高は高い(馬から落馬)とはいえここまで冷え込むとは。
ベルリンは涼しく・昨日までのミラノは亜熱帯・そしてこの寒気。
体調を崩していないのは幸運といえよう。メンバーに服を借りて凌ぐ。









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車が故障してしまった昨日。日曜日で修理工場が空いていなかったため、
今日は起きて早速問い合わせる。
因みに現在車は修理工場の駐車場に停めさせてもらっている。
忙しいらしいエンジニア氏を捕まえてバッテリーを繋ぐ(ファンベルト?)部品を入手。
Wi-Fiがあるホテルまで歩き、車の図面や仕組みをネットで探す。









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なんとなく仕組みを理解して車まで戻り、ジャッキを借りて持ち上げる。
簡易的なジャッキでハンドルが必要だったのだけど、歯ブラシをぶっ刺して回す。
ガソリンスタンド店員だった頃の記憶が蘇る。
…ガソリンスタンドに入るたびに窓を拭いているので、蘇りっぱなしという噂もある…。
車の裏側を見てみること数十分。専用の部品がないとどうにもならないとう結論。
エンジニア氏に見てもらおうと工場を覗くと、昼休みで2時間休憩。
忙しいんじゃないんかい…いや、こう考えてしまうのは日本人なんだろうな。
14時過ぎに再開したタイミングを見計らい、念願のエンジニア氏登場。
どうやらベルトは勿論、それを噛ませるホイール?も相当へたっているらしい。
そして現在その部品の在庫は無く、翌日の入荷を待つ必要が出てしまった。


というわけで、我々は少なくとももう1日ここに留まる必要がでてしまった。
僕が乗る(予定の)ロンドン発の飛行機は28日。
パリに向かうのは断念せざるを得なさそうだ。さらばエッフェル。
しかも、部品が届いてもいつ修理してもらえるか・それで直るかも定かではない。
果たして無事に帰れるのだろうか。それともパスポートを破り捨てるか…。









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まずは目の前のことを考えてみる。
時間には余裕がある。どうするか考えているなか、
昨日歩いて向かおうとしたChamonix-Mont-Blancへ行こうと即決させてもらった。
動けないならバスキングをしてみる他、我々に選択肢は無いはず。メンバーも同意。
ある程度情報は集めておいたので、バスを使って目的地の中心部まで向かう。
30分に1本のバスに揺られる。次々と乗客が増えていき混み合う車内。
持ち物を見ると登山・ロッククライミング等々のアウトドアを楽しんでいるらしい。









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中心部らしい"Chamonix Centre"駅に到着。山道の道路に降ろされる。何もない…?
他の乗車が進んでいく方向に下っていくと、街並みが見えてきた。
日本でいうと越後湯沢のようなリゾート地で、これはバスキングできる可能性が出てきた。
しかし街の規模そのものは小さく、リラックスした雰囲気に音量の不安がよぎる。
なので一番よさそうな中心部の広場はUNDERGROOVELANDへ託し、
僕は近くにあった工事現場の手前で叩いてみることとした。









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この時点でiPhoneのバッテリーを相当消費していたため、外付けバッテリーで充電…
…機能しない…?…昨夜の記憶…借りたアダプターで起きた異様な発熱…。
まさかこのタイミングで故障してしまったとは…。残12%の充電で演奏スタート。
音量に気を付けながらも、意外にもかなりの好反応を見せる。
家族・お子さん連れが多かったのが功を奏しているようだ。
しかし3曲で隣のお店の人がきて終了。
こちらも充電問題があったため、反応が知れただけで充分。いけるぞ。この街。


機材をメンバー側の所に行って置かせてもらい、充電場所を探す。
寿司屋と飲み屋が多く、また中高年の日本人が多い。観光地として人気なのだろう。
中心部に川が通っていて、カヌーの川下りが行われていた。奇抜だなぁ。
最終的にマックに入って、シューストリングではなく
ナチュラルカットもポテトフライを食べながらしばし充電。
向かいの席では地元の中高生?が皆してポケモンGOをやっている。
日本でも大層話題になっているらしい。
そんななか外の歩道にある4本の柱を見ていた。
一見どこにでもある柱だが、うち2本が定期的に地面へ埋まるのである。
最初見たときは目を疑った。なんの意味が…。
あとから判明したのだが、どうやら車が通るときに下がるらしい。
恐らくそのときは人か何かにセンサーが反応したのだろう。
子どもがそれに乗って遊んでいたり。凄いぜシャモニー。











充電を30%くらいに復活させてメンバーの場所へ戻る。
こちらもかなりいい反応を得ているようで、今日でこの旅に持ってきた500枚のCDが全て売り切れ!
素晴らしい。因みに価格は言い値。以前のロンドンでやった方法を取り入れてくれたらしい。
一度休憩すべくスーパーへ向かう。街の穏やかさに対して沢山のビールが並ぶ。
流石本国とあってかKronenbourgの種類が多い。こちらでは赤白ロゴのものが一般的らしい。
スタウトもあったので飲みたかったのだけど、冷えていなかったので断念。実に興味深い。
名前を失念しまった7.1%のスタウトを€1.5で購入。この度数で飲みやすい…。危険だ。
予想通り酔っ払ってきながらも、早い時間に閉店する可能性があるため
夜の食材を買いだして再度バスキングへ。


先ほどの場所の周囲が閉店していたので、同じ場所で再スタート。
人の数が少なくなってしまったので反応はまばらながらもよい傾向。
何処から拍手が聞こえるかと思ったら、背後のホテルの窓からでした。
そしてやはりお子さんの反応がいい。打楽器だからね~。楽しいよね~。
しかし4曲で向かいのバーの人が来てしまって終了。









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メンバーの方へ戻ると随分と人だかりができている。
タイミングに合わせて参加させてもらいドラム+カホンでセッション再開。
周囲に距離があるので止められる心配もなく、人だかりが続く。
NathanがMCで終バスの時間を訪ねると、誰かが「もう無いんじゃない?」と。
流石に早過ぎると思いながらも、立地が立地であることを考え22時前に終了。
ほんと、最後まで拍手喝さいの素晴らしいセッションでした。









日本人の方も見てくれていたらしく、ツイートまでして下さいました。
ありがとう御座います!










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声を上げてくれた人がわざわざ電話で(友人に?)聞いて調べてくれた結果
やはりもうバスは無いらしい。
しかし、なんとなく、諦めがつかないのもあり、結局自分の足でバス停まで確認しにいく。
すると、夜行バスで23:48までの運行があるではないか。(画像参照)
この報告をもって、近くでバーを探す。通行人から安いバーの情報を得るものの
道案内が雑過ぎ、延べ6人ほどに聞いてようやく到着。しかも値段は普通笑。


マスターはイギリス人らしく、店に入ると聞き覚えのある進行…
ボサノババージョンのStairway to Heavenでした。我々が在る処にツェッペリン在り。
今日の稼ぎをカウントしながら飲む。
立ち往生からこういう展開になるとは誰もが想像していなかっただろう。


サクッと飲んでバス停へ到着。思った以上に時間の余裕があった。
戻ってから飲もうと思っていたワインを欲しがる奴らがいたので開けようとも
栓抜きがなかったので、得意の靴で叩いて開栓。知らなかったようで喜んでいた。
別の乗客も現れて深夜バスの存在に確信を持つ。
そして時間ピッタリの23:48にバスが到着…
??????
何故か乗れない。というか、この時間はもうバスが無いらしい。
待て待て。何なんだこの表示は(画像参照)。
お月さまマークに時間が書いてあるじゃないか。
明確にフランス語が読めているわけではないけど、ならばなぜ時間通りに現れた…?
メンバーも交渉に力が入る。こっそり乗せるにも監視カメラがあって難しいらしい。
最終的に会社へ連絡してくれて、夜間料金に+ドライバーへ€10チップという形で合意。









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道路沿いに修理工場があったため、プライベートバスのような感覚で到着。
なんとか助かった。しかし、本当に、運行していなかったバスだったのだろうか…。
なにはともあれ、運転してくれてありがとう!あの看板は即刻焼却してね!
買ってきた食材をNathan料理長に託してボンゴレトマト完成。
この間にJaviがあまりにも物の扱いが雑なのでそれについて少し話す。
広義だけど「気にしない」というのは、ロスも多いけど次々と先に行けるのだなと。
個人ではなくチームで動くってのは当然ながら様々な思考が同時にいるので、
どっちが正しい。というジャッジは難しい。
だからこそ許し合い・学び合う姿勢が大切なんだな。
旅の疲れも少々感じつつ、明日はフランスを越えロンドンへ行けることを祈り
寒さの対策をして眠りに付くのでした。









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それでは、続きはwebで。チーン。
€314.9 + €47.7

20160724 Milano, Italy to France. KITSCH INN, Les Houches.

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ミラノのキャンプ場にて午前中に起きる。
メンバーも起き始めて自然と車内の片づけが始まる。
旅を初めて数週間、この旅なりのサイクルが出来つつある。









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昨日は夜に到着したためよく見えなかったけれども、
多種多様なキャンピングカーが整列している。
曰くキャンピングカーでのキャンプは1つの文化として定着しているらしく
数日~数週間キャンプ場で寝泊まりをするらしい。
確かにどこも洗濯物が干されているのを見ると、短い期間ではなさそうだ。
Billは「家があるのにわざわざ来て生活する意味がわからん」
と言っていたけど、いやいや我々も似たような…いやそれ以下なような…。


昨夜シャワーに入っておいたのも功を奏し、サクッと片付けてキャンプ場を後にする。
場所代は一泊5人で€69。結構するなぁ。ハイソな遊びのようです。









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さて、ミラノからパリを目指して移動開始。
スイスとの国境沿いを通っていくため、山道に突入。
標高はグイグイと上がっていき、フランスに近付くにつれて雪山や滝が現れます。
この辺りはガソリンが高く、安いスタンドを探しながら動いていたのですが
いよいよ諦めて入店すると、その同時にガス欠。あぶねぇ~。
リッター€1.59。この辺りはシビアに計算しながら動いていきます。


フランスとの国境は反対車線に長蛇の列ができ、
恐らくテロ対策かなにか…何時間待ちを食らっているのだろうか。
フランスに入るだけで€58。その他含めて約€100はかかってしまった。
曰くミラノから入国する道はここしかないらしく、お高くみられているらしい。


さて無事に入国し、またもガソリンスタンドへ寄る。
なんでも車の運転に違和感があり、更にバッテリーが充電されないとのこと。
停めて裏側を見てみる。奥では女性が何やら悲鳴を上げながら泣いている。
すると、なにかケーブルとベルトを引き摺っている箇所を発見。
恐らくこのベルトがバッテリーを充電させるのだろうと。
運転の違和感はパワーステアリングの異常。
スペインにいるときに契約していた保険会社に連絡する。
どういうことになったか不明だが、近くの整備工場まで車を移動させる。
そして今日は日曜日、整備工場は稼働していない。









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というわけでフランスの山奥、Les Houchesで立ち往生となってしまいました。
激しい運転で約3000kmをここまで来たのだから、むしろこれまでよく何もなかった。









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丁度雨も降ってきてしまい、2時間後にようやく外へ。
圧倒的なスケールの山々。どうやらスキーで有名な地区のようです。









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近くにあるホテル兼レストランを覗いてみるものの、予想通りかなり高い。
隣町はリゾート地で有名なChamonixらしい。従業員さんは歩いて行けるのではと言っている。
時間はたっぷりあるので、指示された方角へ歩いてみる。









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しかし数キロ歩いたその先にはトンネルがあり、
真っ暗になってしまった帰りも考慮すると危険が伴う可能性があると判断。
戻って右往左往し、最終的に西側に歩いていくと小さな街を発見。
恐らくLes Houchesの中心なのだろう。
この付近にあったKITSCH INNが妥当という結論で、この店に入ることとした。









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ライヴバーとしても経営しているらしく、BGMにはレッチリが流れている。
ビールはピッチャーで頼むと安かったので、グラスに小分けして取り敢えず乾杯。
我々が迎えたハプニングとは対照的にまったりとした時間が流れている。
携帯充電のアダプターを忘れてしまったのでお店が貸してくれるものの、
非常に反応が悪く結局Billのものを借りて、お店のアダプターは外付けバッテリーに使う。
暫くして様子を伺うと触れないくらい発熱をしていた。大丈夫かなこれ…。









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メンバーと話しているとカウンターで飲んでいたDavidが輪に入ってくれた。
シアトル出身らしく今はこの店のキッチンで働いているらしい。
そういえばさっきまで働いていたホールのおねーちゃんも飲みに参加している。
いい時間になってきた所でBGMがツェッペリンに!Nathanと大盛り上がり。
我々が在る処にツェッペリン在り。
5列式の自家製?ジェンガで遊びつつ、気付けばビールのおかわり。
こうなってしまった以上は楽しんでいくしかない。


遅い時間まで居座らせてもらい撤収。また来るよ。
木々が香る夜道は街灯がしっかり照らされて意外にも明るい。
どんどん減っていくお金のことを少し考えながら眠りに付くのでした。


それでは、続きはwebで。チーン。

20160723 Centro Storico. #stdrums in Pizzeria del Duomo. Mostra Escher Milano. Camping Village Città di Milano, Italy.

昨日の悪夢から一転、快適な気候で眠ることができた。蚊は相変わらず多い。
手荷物の整理をする。数えてみると旅もあと5日。これ以上の洗濯は要らなそうである。
そして取れた歯はまたどこかへ行ってしまった。
このガイジンたちと共にいて小さな部品を無くさない方が難しい…。
Nathanがよく掃除をしてくれるので妙に責任を感じてくれていたけれども、こればかりは仕方ない。









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さて今日からJaviの彼女のTereが合流するとのこと。この車内に更に1人増えるとは…。
車で迎えに行くので、機材を手元に持っておくか悩む選択。天気は怪しい曇り空。
3時間半後に帰ってくる約束を取り決めて機材は車へ置くこととした。
メイデンが頭で流れ続けながら、Nathan, BillとCentro Storico辺りをうろうろする。









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中心部というのに川の水が綺麗で、水飲み場も各所に点在する。
日本食・寿司屋も多く見かける。魚屋巡り好きにとっては堪らない街だ。
さて我々はシャワー探し。ベルリンであったようなホステルに当たれるかもしれない。
情報を集めながら(Nathanはイタリア語、ドイツ語もいける)プールがあるとのこと。
到着してみると、雨で開いておらず、シャワーもお湯が出ないらしい。残念。
スタッフの1人が着ていたメイデンのTシャツに反応してくれた。
世界を繋げるIRON MAIDENは今日も健在である。


一旦諦めてカフェへ。それぞれの携帯充電をしながらイタリアンコーヒーを飲む。
昨日エリックが誘ってくれたAt the Gatesの情報を調べてみると
Bagnaticaというミラノからは結構離れた場所で行われるフェスだったようだ。
Anthraxをはじめそうそうたるメンツが揃っているものの流石に難しそうである。
エリックの連絡先がわからないため、島田さんに連絡をお願いする。


Billがこの近くでシャワーに入れそうな場所を見つけたとのこと。
自信満々な表情からは強い可能性を伺わせる。
早速地図を頼りに目的地へ向かう。
歩いて10分ほどして彼が指さしたのは…3つ星ホテル????
明らかに敷居の高そうなエントランスの受付に交渉。そりゃダメでしょ。
この辺にはホテルが数件あるから、
どこかには入れるんじゃないかという目論見だったのかな…。









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お腹も空いたので、昨日Nathanがテイクアウトしたピザ屋へリピート。
アンチョビとトマト。イタリアのピザは本当に美味しい。
これは山で食べる焼きそばのような、実は環境によるものだけなのだろうか。
昨日のIRON MAIDENの話をする。
僕にとってミラノの思い出はメイデン一色となりそうだ。
Billがさらっと「ミュンヘンの思い出は留置所一色」と言って一同大爆笑。
ああいった類の記憶は笑い飛ばしてしまうのが一番である。


「予想通り」Javiからの連絡がないので、我々は引き続きシャワーを探して
中心部まで電車を使って移動することにした。
駅構内にシャワー施設があるかもしれない。
看板を頼りに歩いていると…









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まさかの、エリックに遭遇。全くどんな偶然だよ。
お陰でAt the Gatesの件を直接伝えることができた。
アナディメで一緒にツアーを周りたいものです。また、会おう!


結局シャワーは見つからず、また移動中にJaviと連絡が取れたようで、
この中心部で合流。別れてから5時間後の話である。
これからのスケジュールについて話し合い、
今夜ミラノでバスキングをしたのち、フランスはLyonへ向かう計画となった。
また彼らは昨日のバスキングが結構ハードだったようで、
#stdrumsのみで、昨日UNDERGROOVELANDがやっていた広場の外へ向かう。
予想通りここでは止められることなく反応も上々。
様々なタイプの人が話し掛けてくれるのが面白かった。
#stdrumsのCDがないぶん、フライヤーを沢山持っていてもらえた。
最終的にアンプのバッテリーが切れ、約2時間のバスキングを終える。
Nathan, Billも最後まで楽しんでくれてよかった。

















カッコいい写真も!BIG THANK YOU!!!










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英語が喋れない、怪しいパラディドルができるおじさんを横目に皆でビール。
裏側にあるPalazzo Realeでは数種類の展覧会が行われているらしい。
散歩がてら覗いてみると…なんとEscher展もここではないか。
しかも開催中とのこと。ポスターにあった"GIUGNO"とは6月の意味だったのである。
更に更に、土曜日の今日は22:30までの開催。現在20時。
こんなチャンス他にあるだろうか。
メンバーも今夜の出発に強い意欲がないらしく、明日の朝からパリへ目指すことにし
今夜はミラノで宿泊となった。
というわけで、まさかのここイタリアでEscherと対面できることとなった。
日本・出身地のオランダはDen herrに続いて3度目である。


http://www.rerure.com/blog/diary.cgi?no=333









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僕にとってEscher最大の魅力は
ただでさえ描くのが難しいものを版画・リトグラフで作ってしまうところである。
最初期の作品はまだ理解の範疇にあるものの、
気付けば才能の塊が視界と五感をこれでもかと揺さぶってくる。


序盤には風景画を中心に、段々と正則分割を利用した作品が出始め
中後期の作品と対面したときは、打ちのめされため息しか出てこない。
音楽の符割りと非常に近いものを感じる。
メタモルフォーゼはユニゾン・ポリリズムを経て段々と変化していく曲そのもの。
天才に天才を重ねた理解不能の超人。
代表作"Day and Night"は家にポスターを貼っているので、
妙な親近感と共に、インクの乗り方やリアルなサイズを脳内に叩き込む。


今回特に感銘を受けたのは"Inside st.peter's".
イタリアはバチカンにあるサンピエトロ大聖堂。
夜のローマシリーズを経て製作された、線と影による造形。
線の向き・影の多さの微かな変化でここまでの立体を表現できるとは。
このアイディアこそがEscherの真髄。そして木版画。脅威である。









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KOLOMAN MOSERや葛飾北斎の影響について書いていたり、
正則分割の作り方をパネルを触って体験できたり、
Belvedereの階段付近にいる人の真似をして写真を撮れたり、
遊び心も多く満足できる展示内容でした。
初めて見る作品も多く楽しめました。
ローマに大きな影響を受けているEscherの作品を、
イタリアで見れた価値はかなり大きかったです。


"my work is a game
a very serious game"


22時頃に退館。喉の渇きに空腹。体力を使い切ってしまった。
広場の中心でメンバーと合流。近くに車を停めているらしい。
そして今から、Nathan念願のキャンプへ向かうことに。
イタリアでは至るところに水飲み場があるので、
大量の空のペットボトルを持って水汲みへ。
水道水が飲めるか定かではない・買うには高い水はタダで手に入るのは貴重だ。
夏日というのもあってか水飲み場は人が絶えない。
隙間を狙ってちまちまと水を汲み、全てを満タンにして車へ戻る。


この間、一緒に向かったJaviとTereはまた気付けば何処かへいなくなってしまう。
僕はJaviの発想力とユーモア、そして考え方にはとても強く尊敬していて、
彼はよく「年齢はナンバーに過ぎない」と言っている。
しかしこの旅で、それでもやはり年齢は影響するのではないかと感じてしまう。
守れない時間・約束。突拍子もない行動。
若さ故の自由さ。周りが支えてくれているから振る舞える自由。
勿論前提に音楽があり、お互いの尊敬があるからこそ付き合っていける。
そしてこういうことを考えるようになった自分は…おっと誰かが来たようだ。


中心部を少し離れた道中で食料を買いだそうとするものの高い。
結局そのままストレートにキャンプ場へ到着。
受付を済ませて(パスポートを預けるシステム。怖いので別の手段を取ってもらった)
指定の番号のポイントへ車を停める。
バーにはゲーム等があり、奥ではテクノパーティー?が行われているらしい。









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テントを組み立て始める快活なNathan.キラキラした眼が眩しい。
僕は早速バーへ向かう。プラスチックカップのビールで€4.5。こんなもんでしょ。
泡が切れてしまいもう少し多く注いで欲しいと頼むものの、ボスがうるさいから!
といった理由で断られる。この人とは仲良くなれそうだ。









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ビールを飲みながら念願の野外調理。
ミニコンロを使ってパスタを作る。ここもNathan料理長にお任せ。
コーラとワインを割ったカリモチョを飲むべく、再びバーへ氷を買いに行く。
どうやら閉店のタイミングだったようで、本来売る氷をこっそりタダでくれました。
瓶ビールも買って戻り、ゆっくり飲みながらアンチョビ・トマト・チーズのパスタが完成。
これこそキャンプの環境効果!実際Nathanの腕前もお見事。
眠いといっていたJaviもお得意の前言撤回。皆で鍋を囲む。
向かいのテントから騒がしいと注意されながらも、無事に瓶ビールを飲み干す。
明日は午前中からパリへ向けて出発なため、
混み合うことを想定して深夜にシャワーへ入り眠りに付くのでした。


それでは、続きはwebで。チーン。
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