METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

Daily

#STDRUMS / JUST A PHENOMENON – LONDON THE MOVIE – 公開

投稿日:2023年3月6日 更新日:

日本とロンドンを繋ぐソロドラマー “#STDRUMS” 愛と友情のライヴ・ロードムービー。

2022年6月29日。
あれは3年振りのロンドンツアー。バスキングをしながら充実した日々を過ごしている最中に決まったライヴだった。

The Old Dispensary はイギリス到着初日に連れて行ってもらった会場。タイトなドラム、腰のあるベース、つん裂くギター…出演していた “HOWLING FIENDS” の演奏に痺れた私は、この場所で演奏することが今季ツアーの目標となった、その矢先。仲間がブッキングマネージャーと繋がっており、青写真はすぐさま現実へと変容していくのである。

共演には Javi 率いる ZURITO が決定。呼鳴手氏にアートワークをお願いしてフライヤーを作製し、路上ライヴで配布。本番に向けて連日スタジオでのリハーサルを繰り返し、会場付近のマクドナルドにて入り時間ギリギリまで詰め込んだ編曲を抱いてのライヴ当日。旅のハイライトとなったのは言うまでもない。

Javi はこの日映像撮影スタッフを呼んでいた。私の期待を汲み取ってくれたのか、遥かロンドン市街の小さなパブでの演奏を思い出にしてくれようとしたのか。「プロモーションはミュージシャン自身がやるべきことではない」数年前までこんなことを言っていたやつが、今では有償でも “FOOTGAE” に可能性を見出している。

ZURITO のパフォーマンスが終わり、いよいよ本番。衣装のマスクを被ろうとするや否や、ファスナーが破損。こうしてストリート以外のライヴでは初の、素顔での演奏となった。ケンドー・カシンが石澤常光になる瞬間はこういった気持ちなのだろうか。視界がある世界の素晴らしさに5年間掛けて気付いたドラマーは「店の音止め時間」まで叩き尽くし、この日を盛況に終えた。

数ヶ月後、#STDRUMS の元に映像スタッフの PHOENIX から一通の動画が届いた。再生すると映像の一部が途切れ途切れとなっており、後半2曲はデータそのものが丸ごとない。当日の撮影中に機材トラブルが生じてしまっていたそうだ。「ギャラの半額を返したい」と申し出を受けたため、Javi へのギャラとして渡しておいてほしいと返答した。

この映像。どうにかして生かす方法はないだろうか。…アーティスト名がハッシュタグである意味を本人自らが思い出し、当日の動画を持っていないかとインターネット上で募集を掛けた。すると投稿を見た ZURITO のメンバーや、偶然飲みに来ていたお客さんらが幾つかのデータを送ってくれた。

こうして集まった素材を並べてみると、ちょうどまさに。映像本編が切れてしまったタイミングから、演奏が止まる最後までが、見事なまでに繋がったのである…。

…2019年。世界は停滞を余儀なくされた。3年振りにヒースロー空港を降りた先に待ち受けていた光景は『人が人として当然の生活をしている姿』だった。殆どの人がマスクをしていない、人々がお互いの価値観を尊重しあって生活している。”HOWLING FIENDS” のライヴに感動したのはパフォーマンスだけではなく、会場に在った『日常』が大きく後押しをしている。

日本とまるで違う現状に改めてカルチャーショックを受けた #STDRUMS は、スマートフォンを片手に様々な瞬間を撮影し始めていた。ただ趣味の記録として残していたものだったが、次第に「ハッシュタグを付けて発信してくれ」と訴える自身の活動方針へとリンクしていくのを感じていた。

ロンドンの町並みや人々の姿、ハッシュタグで集めたストリートライヴの映像は、千切れてしまっている動画本編を補うには充分過ぎる量だった。いざ編集された本作を再生すると、日々の記録はロードムービーとしての役割を担う重要な素材となっていたのである。

待ち焦がれた英国。
栄光はロンドンでのライヴ。
仲間たちとの再会。
ストリートでの葛藤。
新たなる無数の出会い。
見知らぬ土地での見知らぬ家。
立ちはだかる言語の壁。
修練の日々。
トラブルに継ぐトラブル。
割れんばかりに揺れるフロア。
ステージライトの走馬灯。
鳴り止まぬ愛と喝采。
音楽の力。

全てが繋がり合い。
ハッシュタグが紡ぐ物語。

#STDRUMS
JUST A PHENOMENON
ここに完結。

どうぞお楽しみください。

そして!
本映像の【爆音上映会】が渋谷にて決定。
以下詳細。

上映日:3月23日(木) 21:00 / 3月27日(月) 20:00

会場:渋谷 7th Floor
(〒150-0044 渋谷区円山町2-3 O-WESTビル7F)
イベントおよびバー営業内での上映となります。スペシャルライヴあり!

それでは、続きはwebで。チーン。

-Daily
-, , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

#STDRUMS【ONE MAN EXHIBITION 2024】新セッティングとテキーラ福岡編

ウエストへ向かうも時間が悪かったか並んでいるため、スーパーの鯵丼。九州はお惣菜もレベルが高い。スタジオでセッティング考察とウォームアップを経て四次元入り。ケイタくん、やいりくんとで音を作っていく…。

椅子をめぐる冒険 / 好きなバンドに友達が加入していたハナシ / #STDRUMS U.K.TOUR 2023

雨。それはオフを意味する。翔二郎と近況報告をしていた矢先、バスキングに使う椅子が崩壊。Jordi に見つけてもらったこの椅子は元々背もたれがついており、収納の都合で折って外してしまったため、横方向に掛かる重心に耐えられなかったのかと思われる。本体が千切れてしまったため修理もできない。まずいぞ…

20181103 インビシブルマンズデスベッド + こけしDoll 〜文化仏滅の日〜 下北沢CLUB 251公演

稲毛でのダブルヘッダーライヴを終えて、翌日の昼からリハ。 ライヴの疲れと激烈な通し演奏の蓄積からか、 気付けば機材車はスーパー銭湯に向かっていた。 サウナから水風呂に入り過ぎて身体の芯から冷やしきり、 …

20171028 HERE + The cold tommy + THE PINBALLS ~君をハイテンションにするツアー~ 仙台FLYING SUN公演

金曜日の朝10時頃。 機材車に乗り込んで北を目指す。 ロックバンド”HERE”ドラマー宮野大介氏の耳の不調により、 急遽ツアーに参加することとなった。 (写真は全く関係ない大量 …

ロバートフリップ風日記⑦ カクシンハン【薔薇戦争】

2019年8月2日(金) (この日も自宅から始まる) 10:00 起床。(ただし数回起きている) 10:06 シャワー。 10:21 朝食。カレー。 10:51 移動。King Crimson &#8 …

Archives