METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

Daily

20200313 & 0314【平沢進+会人(EJIN) 会然TREK 2K20▲03】〜ZEPP TOKYO 公演〜

投稿日:2020年3月19日 更新日:

〜 2014年、スーツケースを転がし渋谷のヒカリエ方面改札に辿り着いた。
路面には帽子とハッシュタグを書いた看板のみが並べてある。
1時間でチップは300円ほど。1つは友人からの労いであった。
いつか渡るイギリスの地を夢見て 〜

前日は友人らと軽く飲み、早めの就寝。
ケンガンアシュラ原作者のサンドロビッチ・ヤバ子とベッドインまいちゃん。
(ずっともて…)
それぞれ10代の頃に知り合っていて、今は三者三様の生き方をしている盟友たち。
何よりも「今日は早く帰ったほうがいいでしょ」と言ってくれた二人に感謝。
練習パッドを忘れずに持っていかなければ…と布団に入って頭に浮かんだ。
この時点で忘れ物リストに記入されたのは言うまでもない。もう確定。

13日当日、やはり早い時間に目が覚めてしまった。
出遅れているミックス作業と、各発送業務を経て荷造り。
余裕があって大変よい。早起きはおやすみのDOG。

ノーヒントが過ぎる東京テレポート駅からの経路でZEPP TOKYOへ到着。

ご挨拶をしてまずはお弁当。

そしてステージで機材セッティング。
噂には聞いていた、ドラムが横を向いているスタイル。
我が愛機Psychedelic Redもここまで来たものだ。

BATTLESツアーの際はホール有りのクリアヘッド。
今回はノーホール・コーティングヘッドで挑む。

空気の逃げ道がないため「ドン」というより「バン」といった、大太鼓のような音。
平たい言い方をしてしまえば、BATTLESの仕様より昔のロックドラムらしい音がなる。
音響エンジニア氏と音楽の趣味趣向が近いのも幸いした。
『なにか言われるまで俺たちが好きな仕様でやってみよう』
バレないようにコソコソ調整して今日に無事辿り着いた。ふふふ。
このセッティングが自身のプレイスタイルを最も発揮できる選択だと確信している。
(2日目にじっくりとサウンドチェックする時間があったのも非常に有意義であった。)
ミスマッチから生じる新たな可能性を求めて今宵もジョンボーナム、サイモンカークを添えて。
おっと…私としたことが練習パッド家に忘れてきてしまったようだ。

平沢進+会人(EJIN)『会然TREK 2K20▲03』
3月13日(金)、14日(土)ZEPP TOKYO

指折り数えて待ち望んだこの日。
3月上旬からリハーサル。曲を一気に頭へ入れた。
その間も某ウイルスの話題に翻弄されるスタッフチーム。
ZEPP TOKYOは自粛要請を受けてから初のライヴ。
ウェブサイト上ではゴーストタウンの如くキャンセル告知が並んでいる。
これだけの同調圧力・錯綜する無関心を経て開催を英断された。
迎えた当日ですら懸念が頭の片隅に住んでいる。

サウンドチェックを終えて、調整を経て初日開場。
入り口ではサーモグラフィ体温測定での体調診断。
徹底した管理が行われたのもあり、15分ほど押しての開演。
舞台袖に向かいSEが流れ始めた瞬間ようやく実感した。
…ライヴやれるんじゃん!
そうとなれば、楽しんでいこうではないか。

横を向いているため、オーディエンスはよく見えない。
チラつくのは綿の畑に錯覚しそうな、数千の白いマスク。
ステージの4人中3人は顔面を何かで覆っている。
異様な光景は演出とも取れるなか、ライヴは進んでいく。

初日で印象深かった瞬間は “SWITCHED-ON LOTUS”。
綿密かつ予想外なアンサンブルに最も心奪われた曲。
無我夢中にここまで叩いていたがこの曲が始まった瞬間『我に返った。』
ひょっとして、いまヒラサワの真横でドラム叩いてるんじゃね?
というか、特等席じゃない、ここ??
あのときばかりは私もオーディエンスとして溶け込んでしまった。

1日目の興奮を身体に浸透させ、2日目はどっしりと構えた(つもり)。
印象の違う2日間をお届けできたように感じている。
悠久の情景と限りなき創造が私を駆り立てた。

曲が進むにつれて、多くのライヴでは達成感に近い感覚を得る。
だがこの2日間は非常にあっさりと過ぎていった。
その分まだまだやり足らない。
スピードラーニングでの対応らしい結果なのかもしれない。

今回の演出において印象深いエピソードを1つ。
なるべく音源に似つかわしいドラムパターンを用意して向かったリハーサル初日。
まずは原曲に近い形にしようと思っていた。
いくつかの曲を経て、師から一言。
「安定した(原曲らしい)ドラムが欲しい場合は【それが得意な人】にオファーします」
半分想定していた状況であったにも関わらず、頭のなかで電球が光った。

おもちゃを片付ける方法のみを学習してもそれ以上は生まれない。
箱そのものを作って好きなおもちゃを入れる段階になってこそ本質が見えていくる。
“形で覚えたもの” と “身体に取り入れたもの” での差はここに大きく現れる。
舞台稽古の経験から学んだやり方だ。
積み上げた記録を一度投げ捨て、五感の内から湧き出るものを表現していく。

その上で、我がボスからの指令はただ1つ。
「とにかく自由に叩いて、誰よりも目立って下さい」
最高だ。
埋もれず、激しく叩けば叩くほど肯定していく。
しかし『意表をつくものを求めている』では決してない。

ジャミングした “SPEED TUBE”
ヘヴィに生まれかわった “帆船108”
マーチングドラムをキープした “MOTHER”
アクションも含めて、すべてその場の思い付きと、印象のみ。
(唯一 “上空初期値” はお互いにパターンを探って完成した)
機材の指定もなく、全て自由。
私は『好き放題に演奏する』という約束を守った。
演奏した自分自身が曲の変化に舞い上がっている。
なんと刺激的な仕事だろう。

「歌がいいと言われるバンドは、ドラムが上手い証拠だと思っていい」
こういう一節がバンド界で謳われることがある。
まずリズムが気持ちよくない限り、歌が乗れないからだ。
「まるでドラムソロだった」
好き放題演奏することも許諾できる【平沢進】という世界の懐の深さ。
口を揃えるように出てきた友人たちの感想はまさにコロンブスの卵。
結果的に大阪公演【会然TREK 2K20▼02】との明確な対比となる。

【会然TREK 2K20▲03】
個々の特性と長所を最大限に活かしたシンプル・ディレクション。
私でないと成し得なかったが、私の成果ではない。
2日間の踊り放題は【平沢進】の掌の上での出来事だったのである。

『来れる人だけ来ればいい』
誠に正しい理論を掲げ満員となったZEPP TOKYO。
真実としての科学/善悪を問わない政治。
理路整然とものごとを伝えたところで別の切り口を持ってくる。
便宜から生み出された『自粛』を貫く、一筋のフラクチャー。
共有に興味はないが、この2日間には特別な一体感があった。
個々の判断。渇望への回答。フロアを埋め尽くす白いマスク。
一丸となって逆境を乗り越えた結果に、平沢さんは『ありがとう』と口にしたのだろう。

睡蓮の小舟に乗り、舞台は【平沢進】の掌。
因果により集まった皆さまへ心からの賛辞を。
落ち込んでいる現状に光あれ。

———-
〜 2014年、スーツケースを転がし渋谷のヒカリエ方面改札に辿り着いた。
路面には帽子とハッシュタグを書いた看板のみが並べてある。
1時間でチップは300円ほど。1つは友人からの労いであった。
いつか渡るイギリスの地を夢見て 〜

多くの活動に流用できるこの手のあらすじを今日に使おう。
ロンドンの地下鉄を介して生まれた【平沢進】との未来を予見できるわけもなく。
———-

ライヴを終え現実へ戻っても尚、プレイリストを再生している。
凡庸なエレベーターの日程表に妄想が重なるくらいは私も成長したのだろう。
次の4月公演、果たしてどのような境地が覗けるのだろうか。
いちファンとして楽しみになる夢見心地な2日間であった。

2020年3月20日(金・祝) / 渋谷RUBY ROOM
【RICH FOREVER SEMINAR vol.8】

#STDRUMS
RUINS
O.A:レトルノセ
(ナカムラルビイ × ユージ・レルレ・カワグチ)
swandives (急遽出演決定!)

OPEN -18:30 / START -19:00
ADV – ¥2000 / DOOR ¥2500 (共に+1d)

◆入場者全員に特製CDプレゼント! (非売品)

それでは、続きはwebで。チーン。

-Daily
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執筆者:


  1. よんさん より:

    バトルスの時も拝見しましたが、今回のZeppは本当に素晴らしかったです。
    変拍子も見事に叩き、気づけば肩から動くパワフルなプレイに見入っていました。あぁ、またいつまでもこの体制の平沢進を見たいと願いながらも、レルレさん自身の成功も近い将来あるのだろうなと、複雑に思っておりました。
    願わくば、ご自身の活動と平行して、平沢進とも末永く共演して欲しいと強く思います。
    掌で踊ることが出来るのは、踊る力が有るからですよね。
    本当に素晴らしかったです。ありがとうございました‼️

    • Rerure より:

      コメントいただきありがとう御座います!
      また共演できるのを心待ちにしております。

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