METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

Daily

20210429【平沢進+会人(EJIN) 24曼荼羅(不死MANDALA)】〜大阪フェスティバルホール2日目〜

投稿日:2021年4月30日 更新日:

『動画撮影とライヴを経てスネアドラムを24万発叩く』
3月上旬から始まった当企画【不死MANDALA】も残すところ25137打。
本日大阪2日目にして最終日、メンバー4人の運命や如何に!?

29日・木曜日。
身体に残された疲れを少し感じながらも、目覚めはいい。
ホテルの朝食券を頂いたためレストランスペースへ向かう。

やはりご時世が影響してか、バイキングではなくメニューから選択する仕組み。
数種類から悩み続けて5年ほどが経過すると見かねた従業員さんが来てくれた。
「こちらのモーニングバーガーがオススメですよ。」
これで和定食を選んだら今日の3曲目で全スティックが木っ端微塵に粉砕する。
Let it be 精神、I’ve got a feeling.

(※写真はイメージです)
パティーに超厚切りベーコン、更には脂の塊そのもののお肉。
こうしてやってきたのはAcross the universeクラスのハンバーガー。
大阪に於けるモーニングの基準を街頭アンケートする必要がある。
というか夕食だとしても脂が満ち溢れていてツラい。
おい!シェフを呼んでこい!だが美味いぞ!
240000打の山頂を目指す最終日は朝から険しい。

食べるのにも時間が掛かり思いの外タイムロスを経てしまった。
回復と打撃を同時に受けるような形で会場入り。
楽屋に鎮座しているお弁当に手が伸びない日が来るとは思わなんだ。
昨日に引き続き天候は不安定。

セッティングは昨日と大幅な変化がないため、時間に余裕がある。
そういえばホール全体を探検できていなかった。

ちょ。
まるでホールクラスの会場じゃねぇか。

2008年に建て替えられ現在の形となる。
初代ホールではmade in japanやPangaeaが収録されたそうだ。ぐえぇ。

楽屋の通路には歴代の公演模様がズラり。
路上で小銭を乞うていたドラマーが来ていい場所とは思えぬ。
そりゃKing Crimsonもやりますわ。
由緒あるステージに、より一層力を抜こうと思った次第。

サウンドチェックをいざ始めると身辺の変化に気付く。
昨夜の演奏による振動で、各スタンドが微細ながらも動いてしまっている模様。
高台と揺れる機材は常に仲良く手を取り合っている。
配信カメラなどもあり足場は複雑に絡み合っているが、ここは妥協できない。

集中して叩けば空腹も訪れる。
白髪のフロントマンからはヴィーガン唐揚げを頂いた。
お麩か何かか、ジューシーな食感と味付けが肉の再現を後押ししている。
この遠征ではヴィーガン料理も色々食べられていて実に有意義。
大豆ミートでの料理も東京へ戻ったらやってみようと思う。

【平沢進+会人(EJIN) 24曼荼羅(不死MANDALA)】
大阪フェスティバルホール、2日目は “TOWN-0 PHASE-5” から始まる。
初日はスネアとタムを中心に作ったのに対して今日は3点のビートで演奏。
同じ曲を日によって別のアレンジで叩く手法は初めて。
ジャングルから都会に風変わりしたような印象の違いが出て面白い。

今回特に好きな曲となった “高貴な城” は反復を重視して演奏した。
初日 “論理空軍” で得たヒントは本公演に大きく貢献している。
鼓動と爆撃を連想させるドラムは打ち込みだからこその重苦しさがある。

“回路OFF 回路ON” のサビ以外はパラディドルでの16ビートパターン。
一見複雑だが、手が絡まずサイドスネアでバックビートを打てる。

昨日の記憶と、不意に生まれるアイディアを混ぜながら今日を組み立てていく。
あっという間に “Aurora 3” へ。
90000という始まりの日が過ぎり、240000の着地点がぼやけて見え始める。
打数がやや不足していると感じたため随所に細かいロールで増幅。
“会人TAZZ” による手厚いサポートでカウンターの伸びもよい。

残り約3000打というところで楽曲本編は終わりラストスパート。
フロントメンバー3人による全面的サポート。
過激的に変化していくドラム。
これほど『終わり』へ具体的に向かう瞬間があったであろうか。

239990。
“会人SSHO” は背後に立ち腕を振ってフィナーレへと導いてくれている。
(配信映像にて判明)
噛み締めるように1打1打を叩きつけ、239999…!

こうして【不死MANDALA】は無事に240000打を達成。
私はフジの登山権を手に入れた。
瞬間を目撃した当事者の皆さまは上記の空白を理解できるであろう。
ステルスメジャーの舞台主役はステルスメジャーなのである。

“Amputee ガーベラ” 演奏中の爽快感たるや。
楽曲の印象もあってか自然と力も抜ける。
突如として出てきた星を飲むようなパフォーマンスも2回目。
リハなしでようやりますわ…。

達成感に満ち溢れたアンコール。
“KINGDOM” も大好きになった楽曲。
曲順の位置も凄くいい。
イントロが始まると同時に、私はフロントマンに向けて一礼を捧げた。
ひょっとして泣くかも?とか思っていたものの非常に冷静。
城を転がすようにロックはロールしていく。

ここで配信動画から判明した事実を1つ。
平沢さんは打ち込みのドラムを(ご自身の)耳へ返してくれと注文していた。
これはイジメではなく笑、楽曲本来のノリに慣れているからとのこと。

さて配信動画を見ていると…。
あれ…???
私が知っているKINGDOMと、何か違う…?
なんと、打ち込みドラムは私の耳元にも返ってきていたのである。
鳴っていると思っていたデジタルなループサウンドが入っていない。
超直球のハードビートじゃないすか。
最後のサビ前とか、がっつりブレイクしている…笑。
そうと知っていたらもっと力んで叩いてしまっていたかもしれない。
とんだ副産物が生まれていたのでした。

こうしてラストの新曲(と知ったのは昨日)、”Timelineの終わり”。
リハーサルへ行くときに見た青空と、ホールの客席とが交差する。
240000打数を達成し、目的が演奏のみとなった4月29日の最後。
覆われた黒幕の内側では私だけが見えるエンドロールが流れていた。

この2日間は『日常という当然』がテーマだと、個人的に解釈している。
当然ライヴに来ていいし、当然公演は行う。
「どうだ!我々はやるぞ!」と宣言する必要もない。
それが日常。
マスク必須・声出しNGというイレギュラーは人付き合い。
タイムラインは日々と変わりなく流れ、あっさりとステージ袖へ去る。
主張もせず、なるべく日常を過ごすことこそが大切なのである。

スネアのみ・ドラムのみでの演奏撮影。
高架線や公園、河原でのドラム録音から生まれた楽曲。
ストリートライヴへの回帰。
次は何を撮ろう。
どんなアプローチをしてみよう。

思えば2019年のBATTLESオープニングアクトから物語は続いている。
何故ソロで活動するのか。
私が演奏する意味とはなにか。
リハーサル・本番を経て、手に取るように感じられた変化。
人の人生を変える力を持つ男との物語。
【平沢進+会人(EJIN) 24曼荼羅(不死MANDALA)】
次々に自身への刺激とアイデアをくれた企画であった。
本公演へ携われたことへ心より感謝し、誇りに思う。

始まるとは、終わりに向かうこと。
終わるとは、次に始まること。
【平沢進+会人(EJIN)】を終え、明後日から #STDRUMS でのツアーが始まる。
この2日間がこれからの日々へ多大なる影響を与えるとは知る由もないまま…。

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