METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

#stdrums

20220302 #STDRUMS + BLONDnewHALF + 佐野アツシ + TSUKA ~RICH GOLDEN STREET vol.4~ 渋谷RUBY ROOM

投稿日:2022年3月3日 更新日:

3月1日。
久し振りの “アタリ” を引いた。
“Richard P. Havens, 1983”
この名前でピンとくる人はロックへの知的好奇心をお持ちであろう。
映画 “WOODSTOCK” の初日1番手に登場するシンガー。
スピリッツ溢れる独創的なギター奏法と歌で「この日はヤバいフェスだ」と確信させてくれる。
音源をチェックするに至っていなかったのか、はたまた遭遇率が低いレア盤なのか。
新入荷のコーナーで昼寝するリッチーヘイヴンスを無事確保。

調べればウッドストックと同年、1969年発売ではないか。
そういった期待も込みで針を落とした正午過ぎ。
1曲目から放たれる気迫に満ちたアンサンブルにど肝を抜かされた。
私が知っている Richie Havens はギター・コンガとの3ピースである。
音源ではしっかりバンド編成で、余裕すら感じさせる息の深い歌。
The Beatles のカバーがここまでストレートにハマる人も珍しい。
『音楽に対する誠実さ』に包まれた激動の69年、とあるまた別の物語。

夜はペダルトラブルの解決に向けてスタジオ入り。
スペーサーにサグリを入れてカムがフープをしっかり噛んでくれるように調整。
これで大丈夫だと思いたいが、果たして…。

3月2日。
午前中に起きて廃スティックキーホルダーを製作。
“RICH FOREVER TRADITION” と “リチャード三世” を思い出しながらの作業。
今回分は練習のときに使う不揃いのスティックもあったため、メーカーや太さもバラバラ。

「アルコール摂取と夜間の会合がウイルスを活性化させる。」
この鋭い考察は2年間で得た経験と知識があるにも関わらず、未だ信じられている。
21時に終演させるには開演時間を早めるだけでなく、演奏内容も削らなければならない。
表現とは、能率や理屈的な働きかけとはつくづく相性が悪いものだ。
時間を短くしてのセットリスト組み立てを直前まで決めあぐねて外出。

15時過ぎに渋谷RUBY ROOM へ到着。
今日も安心のフクちゃん。

サウンドチェックではマットごとではなく、ドラムだけをマットの最前まで引き出す。
ストッパーがキックに潜り込むのが気になるが、今日はこれでやってみよう。
D/Iのご機嫌を取りつつ、折り曲げられたシンバルスタンドをなんとか置きつつ完了。

気付けばRUBY ROOM の内装に喜ぶ声で賑やかだ。
ウエスト・サイドから共演者たちがご到着。
会話の温度を味わうと本当に大阪のライヴハウスにいるのではないかと錯覚を受ける。
既にいい雰囲気だ。
物販を並べながら、機材転換の流れを確認しつつ準備OK。
非常にスムーズな進行のお陰で(主にツカちゃん)1時間ほど余裕を経ての開場。

“RICH GOLDEN STREET vol.4”
RICH FOREVER SEMINAR の番外編として、入場無料で開催していたイベント。
ツカちゃん・佐野さんとで東京に来たいとお話を貰ったときにコンセプトが繋がった。
大阪の平日ブッキングライヴをそのまま東京に持ち込むことはできないだろうか。
実際に私が大阪でライヴをやるときに集まってくれるような出演陣。
開演までを繋いでくれるターンテーブルのお供は勿論 “Richard P. Havens, 1983″。

1番目を引き受けてくれたのは “佐野アツシ”。
“BIRUSHANAH” でも使用しているメタルパーカションを担いで心斎橋からやってきた。
スプリングにはトリガーを仕込んであり、塩ビパイプのバスカーの姿を彷彿とさせる。
その場で生み出されるループは、ビートの揺れも含めプリミティヴなリズムがアツい。
最後はグラインダーでドラム缶を削り火花炸裂!
これぞ火影、これぞ関西なライヴを平日の18時からブチかましてくれた。

2番手はこのブログでもお馴染みツカちゃんこと “TSUKA” ソロ。
終演時間が決められているなかで、速攻での転換をしてくれた。
ROSEROSE に加入してから今まで、最もライヴハウスで会い続けている1人ではないだろうか。
初めて共演した日の打ち上げで盛り上がりそのままスタジオへ行ったのが懐かしい。
(“Ariseの乱” としてツカペディアに書き記されている。)
スタイルは変われど、今でもこうして音楽仲間として共演できるのはほんとうに幸せだ。

実はツカちゃんのソロを聴くのは初めて。
ルーツにあるメタルスピリットと歌謡曲へのリスペクトが交わった弾き語りソロ。
寝てないと言っていたのにようあんなに飲んでも声が出るなぁ…。
十数年前に聞いた「ステージに上がればシャキっとすんねん」という言葉が頭によぎった。

今回の対バンには1つバンドが欲しかった。
呼びたいバンド候補を伝えたときに即日返事をくれたのが “BLONDnewHALF”。
このメンツが集まれば最高だろう。
確信ともいえる予想は渋谷RUBY ROOM で現実となった。

音楽とは目に映らないものであり、ときに言語化することが困難なスタイルがある。
『70’sパンクとニューウェイヴの源流を持ち、一直線にビートを刻み続ける』
こういった具合の紹介は容易だ。
しかしこのバンドが持つ「セット全体で1曲」の雰囲気はまさに形容しがたい。
1曲目はイントロであり、2・3曲目で徐々に盛り上がり、気付けば最後は拳を挙げている。
ドラマー視点としては、コズさんのシンバルのタイミングと抜け方が完璧。
爆撃のような「ワン」を、絶妙な瞬間に撃ってくれるファンキードラマーだ。

この異様な盛り上がりはバンドだけの力ではない。
さっきまでステージに立っていた人が、出番が終わると同時にフロア最前へ加わる。
信頼する出演者であり、最高の合いの手(ガヤ)を入れてくれるオーディエンスなのだ。
フロアが「盛り上がっているフロア」に反応して、盛り上がる。
これぞ求めていた、大阪・平日ブッキングの空気感である。

こうして #STDRUMS。
際どい持ち時間をフクちゃん協力の元なんとか稼ぎ、セッティングが間に合った。
しかし開始数曲目、またもキックに不具合が発生。
ストッパーがキックを浮かせる役割を果たしてしまったらしい。
年末からの相次ぐ足元のハプニング。道は遠い。
しかし熟成されたフロアがしっかりを場を繋いでくれる。
久し振りに演奏した side fallen は、自分自身に新しい流れを作りたかった。
変形イントロはお昼に思い付いて急遽こさえたもの。
ライヴ版としてリミックスする目標の第一歩を踏めた気がする。

個人的理由で最後も久し振りにアノ曲を演奏。
これが意外なところに意外な響き方をしていたり。
サプライズと面白さを今後も追求できる大きな励みとなりました。

平日水曜日だというのに、この盛り上がり。
佐野さんの “BIRUSHANAH” も暫く東京へは来ていない。
ライヴを観に来るだけでなく、彼らに会いに来る人々が多かったのは嬉しい誤算だった。
こんなご時世だからこそ、気軽にライヴハウスへ来て欲しい。
それは交差点で偶然出会うような【RICH GOLDEN STREET】路上ライヴの原点である。

今でも月10本ペースでライヴをやりまくっている “BLONDnewHALF”。
幾多のバンドを掛け持ちし、ライヴハウスの住人とも云えるツカちゃん。
止まることなく音を出し続けている『リアル』を東京に持ち込みたかった。
そして、渋谷でもこういったイベントが開催されていることを彼らに知ってほしい。
百戦錬磨の “手練れ” たちのお陰で時間もしっかり守られたのも素晴らしい。
西と東による、音楽への誠実さが滲み出た文化交流。
それは昨日、リッチーヘイヴンスに教わったばかりだったのであった。

こうして終演後は居酒屋を探して打ち上げへ。
やはりリッチーヘイヴンスについて話していると…

「でも今日流れてたビートルズのカバーはイマイチだったなぁ」

こうしてツカちゃんとは再び絶妙な平行線を辿ったとさ。
(このあと…And Justice for All が最強という話しでユナイトした。)
【火影ナイト】【戦国ナイト】もいつか必ず開催いたします。
乞うご期待。

それでは、続きはwebで。チーン。

P.S: 8日に急遽やった「ライヴ音源生配信」をご視聴いただきありがとう御座いました。
実験のためアーカイブ無しの放送となりましたが、またやる予定です。

廃スティックキーホルダー(DIY)

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