METAL TRASHING FIT II

by Yuji "Rerure" Kawaguchi #STDRUMS

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【現地レポート】〜平沢進+会人(EJIN)【会然TREK 2K20▼04 GHOST VENUE】〜 初めて平沢進を初めての無観客ライヴで見た!

投稿日:

大阪での【会然TREK 2K20▼02】
そしてサポートドラムで出演した【会然TREK 2K20▲03】
異なるコンセプトを経て、平沢進+会人(EJIN)による【会然TREK 2K20▼04】は(タイトル通り)4月に予定されていた。

20200313 & 0314【平沢進+会人(EJIN) 会然TREK 2K20▲03】〜ZEPP TOKYO 公演〜

拝見できる日を心待ちにしていたが、流動的に変化していく世情を経て6月7日に延期。
変更後の日程も開催が危ぶまれる状況下である。
納得しつつも、関わることのできたプロジェクトの結論を見届けられないと思っていた矢先。
配信での無観客ライヴという方向性に決定。
こうして【平沢進+会人】のライヴを人生で初めて外側から体験できることとなった。

6月20日。
不安的な天気が続く季節にしては晴れ模様。
街にも少しずつ活気が戻ってきているのであろうか。

不可避。
私が近付いたのではない。店の扉がただ眼前にあっただけだ。
生きていく上で出費が嵩む最大の理由である。

16時過ぎ、NHKホールへ到着。
実は10年ほど前にTV収録のイベントで出演したことがある。

〜〜〜〜〜

その当時、私は並々ならぬ気合いを入れて練習に望んでいた。
持ち時間は短かったが、人生最大規模に大きなステージでのパフォーマンス。

ライヴ当日、このときに限っては楽器屋へ寄り新品のスティックを2セット購入。
気合いの現れは勿論のこと、万が一演奏中に折れてパフォーマンスへ支障をきたしてはならない。
プロフェッショナルとは気配りから違いが生まれるのである。

いよいよ本番。
リハーサルでも使わなかった下ろし立てのスティックを持ってステージ袖へ。
SEに合わせてホールへ足を踏み入れると、歓声で身体がビリビリと響いた。
これが、3000人…。NHKホール…!
今日のライヴが今後の人生に影響するのかしないのか…。
どちらにせよ楽しもう。
いざ、参る…
曲のカウントのハイハットで打ち始めた。

…気付けばライヴは終わっていた。
…なにも覚えていないだと…?
エキサイトし過ぎて記憶を留めることすらを忘れる『あの感覚』とは違うなにかだ。
…いや、1つだけ覚えている…。
カウント2発目…新品のスティックは縦真っ二つに折れていた。
わずか2発でドラムスティックだったものは木屑と化したのである。

人の記憶とは印象の大きな順番に刻まれるらしい。
楽屋での挨拶などは回想できるが、ステージ上での記憶は本当になにも思い出せない。
こうして晴れ舞台の思い出は端から端まで『マジかーい』で埋め尽くされ、通り過ぎていったのである。

〜〜〜〜〜

その日を機に、本番で新品スティックを使った日は一度としてない。
あれから約10年。2020年6月20日。
【平沢進+会人】のライヴを観るため会場裏口へやってきた。

入館の際には体温チェック。
そして事前に1週間の検温表を提出するNHKホールの徹底っぷり。
ステージはリハーサルの最中である。
上手奥には…テント…?
それとは別に浮かんだ『気付き』は開演中に現実となる。

ちょっっっっ
まっっっっ
どういうことなのだこれは。
羽毛敷布団のような手の分厚さである。
本当にありがとう御座います。
きみは2発で新品スティックを折った10年後、お弁当を食べるだけのためにNHKホールへ入館するのだ。
ラタトゥイユとお魚が美味しい。
本当にありがとう御座います。

本番直前にネジが飛んでしまった某会人氏のマスクをテープにて修繕。
タダメシを食う以外の用途があり安堵のまま開演。

【会然TREK 2K20▼04 GHOST VENUE】
初めて経験する無観客ライヴで、初めて目の当たりにする【平沢進+会人】観覧。
空席のみのフロアの侘しさは平日のブッキングライヴを想起させる。
だがステージと客席とで随分距離がある、3000人を収容できる会場という事実も変わらない。

大き過ぎる会場になるとステージの高さもあり孤島で演奏しているような感覚に陥る。
NHKホールは本来観客の熱を感じられながら規模感も味わえる絶妙のバランスだ。

セグウェイに乗って登場するテスラカイト顔無会人。
阿鼻叫喚の演出にも歓声は1つとして生まれない。
中央に佇むテスラコイルが荘厳に響き渡るSEを不気味と助長させる。
まさしく、幽霊と共にライヴを観ているような摩訶不思議体験である。

“平沢進” もセグウェイに乗りながら歌っての登場。
イントロダクションを終えると舞台奥の幕が降りテントが姿を現わす。
ステージ両袖から平台に乗った会人2人とレーザーハープが中央に設置。
駆け抜けるようなスピード感で “世界タービン” が始まり、ギターソロでは軽快なジャンプも炸裂。

いつもと違う点は大きく1つだけなのだが、全ての違和感へ繋がっている。
これまでも、この曲が終わったあとも…フロアの熱量は高いも低いもなく『無』のまま。

16時の時点で予想されていたことが現実になっている。
会場でのリハーサルは無論本番を想定して進行するため、特に変化がないのである。
いわゆるゲネリハを鑑賞しているような世界観。
没入するにも熱量が追いつかない。
…不思議なものだ。本当は周りに人がいない方が物事には集中できそうなのに。
振り返れば『客入れ』の概念もなく、本番への期待値を高める時間が用意されていない。
当ブログでは何度と同じ話をしているが、ライヴはオーディエンスと共に作るのだ。
1/3500を経て改めて実感している。

音質にも違いが生まれていることに気づいた。
通常のライヴは観客が音を吸うことを想定されてバランスが作られる。
無観客ライヴは空席が音を弾いてしまうため、通常より音(特に低音)が回ってしまうのだ。
勿論配信である以上、会場が鳴らしている音質による影響はないのだが…。

正直、微妙な心持ちとなり始めていた。
リハーサルからお邪魔してしまったのがこの心境の理由であろうか。
ステージは撮影されることを前提として進行している。
実は直接ではなく配信ライヴを観た方が面白かったのではないだろうか。
頭の中がろくろのようにぐるぐると回り始めた、その瞬間。

伸びやかな歌声と共に棒の先に付いた360度カメラを “平沢進” は天に掲げていた。
カメラを操りながらフロアへ降りてくる姿に、疑念が脳内で溶解するのがわかった。

どう映っているかなどを気にせず、いつも通りのパフォーマンス。
だが無観客配信・収録向けのサービスも同時進行。
対に位置付けされている2つの意図が並行しているバランス感覚。
無観客であることをステージから楽しむ姿勢の表れ。
なんと絶妙な。そして、なんと自然なのであろう。
『無観客』に違和感を覚えていたのは、他でもない自分自身なのであった。

セグウェイに乗りステージを駆け回る会人たち。
楽曲の持つシュールさが、空席との相性の良さにさえ見え始めてくる。
壮大な照明。奥高い空間。謎の3人。無観客。
冷静に立ち返ると物凄い状況を目の当たりにしているのだな。

…しかし、ZEPP TOKYOで2日間共にライヴをした相手なのに、殆ど知らない曲ばかり。
というか本来の公演は4月だったわけで。3月とセットリストが全然違うって…。
曲数の多さだけでなく、音楽性の懐の広さを実感。
ADIOSを聴けばオーストラリアでのロードトリップ中に繰り返し聴いていた記憶が蘇り、SWITCHED ON LOTUSが始まれば度重なるパルスとギターのサウンドにのめり込んだ瞬間が頭を過ぎる。
音楽とは記憶を呼び覚ますタイムマシーンなのである。

本編ラスト。
さよなら、それだけです。
バックスクリーンに映る言葉と、テスラコイルを操作するシンメトリーなシルエット。
【意思】を支配下に置いたかのように巨大な黒雲は会人のコントロールから独立していく。
そしてレーザーハープを前に無表情で起立している『だけ』の “平沢進”。
『なにもしない』が成立するアーティストがどれほどいるのだろうか。
音は鳴り続けているが、舞台上で演奏をしている者はもういない。
証明のような終止符(QUIT)を経て、彼らはステージから立ち去っていった。

殺虫剤に引き続いてはチェーンソーでテントを切り刻みながらの “現象の花の秘密”。
どんでん返しも常に平常運転。ガードできずに喰らうしかない。
超真面目なお遊びを経てライヴは終演。
「幽霊には優しくする」というご本人のお言葉通り、握手をしながら客席へ溶けていった。

世間がどうなろうと現状をそのまま受け入れ、転じて行動に出る。
器を広く見せようとせず、ただ広げて落ちて来たボールを受け止める。
それまでに至る活動内容に無理と背伸びがない証拠である。
今日見たのはブレずに、ご自身の仕事をいつも通りにこなしている姿だ。

『普段通りに普段通りのパフォーマンスをおこなう』
3月に受けた印象をまたも現実に垣間見た。
剥がれるメッキではなく、内側から錬成し続けてきた実像がそこにはあった。

これが、360°カメラを搭載した映像作品になるのだから…全く以って凄まじい。
実際に体感しなくていいライヴで面白かったのに、本来目的の状態で楽しめるだと…?

以上が、私の体験した【会然TREK 2K20▼04 GHOST VENUE】現場からのレポート。
映像の完成を指折り数えて待ち望むとしよう。

その翌日…

ありがとう御座いました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

それでは、続きはwebで。チーン。

LOTUS ROOT

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